いろりを囲んで、ゆっくりと過ごす時間
自然な動きを生かした梁、やわらかな灯り、そしていろりのある空間。ここは、どこか懐かしくて、「ただいま」と言いたくなるような場所。自宅を開放して始めたこのお店には、店主ご夫婦のこれまでの人生と、人を迎えるあたたかい想いが込められている。

はじまりのコーヒー
店主の浩子(こうこ)さんは、もともと保育の仕事に携わっていた。しかし体調のこともあり、これからの働き方を考えなければならない時期が訪れる。そんなとき、夫の耕一(こういち)さんの勧めや、もともと好きだったコーヒーをきっかけに、「自分にできることがあるかもしれない。」と、考えるようになった。浩子さんは、高校時代、バイトしたお金でサイフォンを買うほどのコーヒー好きで、サイフォンでの淹れ方を大館に学びに行っていたそう。


毎日、大館までコーヒーを学びに通いながら、少しずつ準備を始めたものの、飲食店の経験はなく、不安も大きかったという。それでも、「コーヒーとちょっとしたスイーツが出せればいいんじゃないか」と大館の師匠に背中を押され、開店を決意。開店を決めた日から、わずか2か月ほどでお店はオープンした。「当時、大きな一歩を次々と踏み出していることに、後から気がついた。師匠にも、『やっと気がついたか!』と言われた。」と、当時を振り返って笑う。
自宅をそのまま、お店に
このお店の大きな特徴は、店主ご夫婦が実際に暮らしてきた自宅を、そのままお店として使っていること。大きな梁、木のぬくもり、そしていろりのある空間は、建てた当時から大切にしてきたものだという。お店を始めるために大きく改装したわけではなく、椅子やテーブルも、もともと家で使っていたもの。お客さんが過ごす空間は、生活してきた空間そのものだ。
だからこそ、この場所は初めて訪れた人でも、どこか懐かしく、ほっとする空間になっている。


体にやさしい、手作りのごはん
このお店で出している料理やお菓子のほぼ全てが手作り。特別な料理というより、「家で食べるようなごはん」を大切にしているという。特別に料理やお菓子の勉強をしてきたわけではないというが、もともと作ることが好きで、気がつけばメニューの種類も少しずつ増えていった。


取材で訪れた日も、「せっかくだから」と、いくつものスイーツを用意してくれていた。これだけの種類を一人で作るのは大変なこと。「普段、家で食べているようなものしか出していないんですよ。」と浩子さんは話す。しかし、そのやさしい味を求めて通うお客さんは多い。体調がすぐれず食事があまり食べられない人が、「ここに来たら全部食べられた」と話してくれたこともあるという。たくさん食べられない人が、ここでは食べられた。
食欲がなかった人が、ここでは完食できた。そんな話を聞くたびに、このお店をやっていてよかったと思うのだという。


帰ってきたくなる場所
囲炉裏カフェCoCoは誰かに会いに来たり、少し話をしたり、ゆっくりごはんを食べたり。それぞれの時間を過ごしに、人が集まってくる場所になっている。家でもなく、職場でもなく、もうひとつの居場所。仲良し夫婦の店主があたたかな縁を繋いでくれる。


自宅から始まった小さなお店は、いつの間にか、いろいろな人が集まる場所になった。今日もまた、「ただいま」と言うように扉を開ける人を、この家は静かに迎えている。


