「ただいま」と言いたくなる居場所
水くまといえば“人気メニューの塩からあげ”。ふらりと寄って心解ける場所。

代々つながる“水くま”の想いを受け継いで
「水くま」という名前の歴史は、前川日和さんの曽祖父・くまへいさんが新潟で始めたかき氷屋から始まった。そこから代を重ね、日本各地へ受け継がれてきた味と屋号。前川さんで5代目となる。
幼い頃、学校帰りにお母さんの経営するお店へ寄り、自然とお客さんと触れ合う日々。「いつか自分もやってみたい」――その夢が、能代での居酒屋営業、そして水くまの現在へと続いている。

明るく朗らかに笑う店長の前川さん。お話を伺うほどにあたたかな人柄が溢れる。長く通う常連さんが「ただいま」と店に入り、「おかえり」と迎える光景。距離の近さと、肩の力がふっと抜ける居心地のよさ。そんな空気も、この店の魅力なのかもしれない。

研究を重ねた“からあげ”の醍醐味
水くまといえば、まずからあげ。居酒屋水くまの創業から続く塩からあげを筆頭に、醤油、そして半年間にわたる研究を経て完成させた味噌からあげの3種類。塩よりもピリッと甘辛く、コクのある味噌からあげは、キッチンカーでのファンが特に多い一品だ。

屋外イベントでも大人気で、「のしろいち」ではキッチンカーの前に長い行列ができた。「仕込みの量ちょっと足りなかったです」と、前川さんはちょっぴり悔しそうに笑う。

かつて、若い常連さんが1ヶ月毎日一軒目に水くまに通っていたという。美味しいメニューはからあげだけではない。
ほかにも「揚げっぱなし揚げ出し豆腐」や、甘辛コチュジャンでナスを仕上げた「あくまのなす玉」など、心をつかむ熱々メニューがずらりと貼られている。
「ストレス発散に、しっかりこねてます!」と笑う人気おすすめメニューのハンバーグも、前川さんらしい温度。丁寧で、力強くて、どこかチャーミングだ。

人の集まるところへ。キッチンカーと新しい挑戦
「店舗で黙って待っているだけじゃなく、人が集まる場所にも行きたい!」そんな思いから始まったキッチンカーは、今年で3年目になる。出店先でのにぎわいと笑顔に触れながら、週末はイベントや出張出店を行うことも多い。

店内には固定メニューが並ぶほか、毎日3品の“おすすめメニュー”がある。「いつも来てくれるお客さんが、つまらなくないように」小さな気遣いの積み重ねが、常連さんに愛される理由。最近人気の“飲み放題”は、アルコールとソフトドリンク両方に対応し、ハンドルキーパーも楽しめるメニューにしたと言う。お客さんの声を柔らかくキャッチし、人気メニューとなっている。

10周年を迎える来年へ向け、まだまだ進化し続ける水くま。「ただいま」と言える店、「おかえり」と笑って迎えてくれる店だ。


