お菓子のセキト

(下内崎)
創業以来の定番から限定品まで 楽しみいっぱいの和洋菓子店

自宅用から贈り物用まで、たくさんの和菓子・洋菓子がそろう。毎月7日の「きさばあちゃんの日」には、限定のお菓子が店頭に並ぶ。

志んこをはじめ 季節のお菓子もお楽しみに

看板商品「志んこ」にまつわる思い出話を、店主の関戸さんにうかがった。「うるち米でつくる志んこは、つくったその日が消費期限。そのため首都圏の物産展では、朝につくったものを空輸し、その日の午後から販売する形をとっていました。冬場の物産展の際は、雪で飛行機が欠航しないかとヒヤヒヤしたこともありました」と振り返る。志んこと並び、創業当時から変わらない製法でつくっている季節限定の「おやき」も根強い人気で、販売する時期(秋口〜春先)を楽しみしている人も多い。 お店の情報は妻の恵さんが20年以上手がけている“ほのぼの便り”(毎月25日ころ発行)をはじめ、ウェブサイトなどで発信している。「志んこのこし餡が残ったら、バタートーストにこし餡をのせて食べるのが我が家の定番です」と恵さん。ぜひ試してみたい味だ。

“きさばあちゃん”から続く、今と昔が織りなす能代の味

セキトの志んこの特徴は、なんと言ってもモチモチしながらコシのある食感。市内や県内はもちろん、県外のファンは志んこのために来訪し大量に買って帰るほど。志んこの餅を作る直前に自社内で製粉し、最適の粒子にした上新粉から作り始める。「この上新粉が、うちの志んこの特徴です」と関戸さん。市販の上新粉と違い、水分が多い生の粉はうるち米100パーセント。お米本来の香りやコシを生かした餅になる。たっぷりと餅に絡む「こし餡」の上品な味わいも特徴のひとつ。厳選された北海道産の小豆のみを使い、時代に合わせて甘みを調整しながら変わらない味を守り続けている。

店の始まりは、店主の関戸さんのおじいさんとおばあさん。最初は町の小さな商店だった。店頭で七輪に鉄板を置いておやきを焼いていた“きさばあちゃん”のことを覚えている人も多い。当時の常連客には、焼き上がったおやきにペタッとあんこを更にのせるサービスもしていたのだとか。お店を継いだ関戸優さんも、きさばあちゃんから続く昔ながらの製法で、地元の人たちに親しまれながら秋〜春まで季節限定でおやきを作り続けている。

バスケの街

観光客も多く訪れるセキト。お土産で親しまれているお菓子のひとつが「バスケの街」だ。ふわふわで丸いブッセは、大人の握り拳ほどの大きさ。「当時も、能代工業のバスケの子たちが頑張っていてね。選手の子たちに安くてでっかいお菓子を食べてもらいたかったんです」と関戸さんがニコニコ話す。ボリューム満点だが、軽い口当たりにもうひとつ…とつい手が伸びてしまう。能代にバスケットボール関係で訪れる人は多い。ブッセの他にも、ゴーフル生地のせんべいや手作り最中等、ファンを増やしていった。特に、高校選抜のバスケットボール大会「能代カップ」の時期には、多くの人が買いに来る大人気商品だ。

昔ながらの「こし餡」のお菓子だけではなく、キラキラとしたケーキや焼き菓子もショーケースにずらりと並ぶ。志んことソフトクリームを合わせた志んこパフェも人気(春から秋までの季節販売)。老若男女問わず買っていく。 世代を越えて、能代の志んこ文化は続いていきそうだ。

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お菓子のセキト
(下内崎)

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