幸せの果実が運ぶ、くつろぎの時間
「ブルーベリー」は北欧で“幸せの果実”と呼ばれている。ただ食事を楽しむだけの場所ではなく、訪れる人がほっとできるような安心と幸せの空間。
心がほっとする、温もりあふれる場所
能代の町にひっそりと佇む「幸せおうちごはん ブルーベリー」は、「お店だけど、友達の家に遊びに来たような気持ちになれる」場所。誰もが覚えやすいこの店名の由来は、北欧でブルーベリーが「幸せの果実」と呼ばれていることから。そして「幸せおうちごはん」には、オードブルやお弁当を通して「お家で幸せ気分を味わってもらいたい」という願いが込められている。ふわふわのシフォンケーキ、もちもちの生パスタ、手間ひまかけた一品料理は、どれも口にすれば、ほっと心がほどける味わい。週に何度も訪れる常連さんも多く、「ここに来ると安心する」という声が後を絶たない。
ランチからディナーまで提供し、卒業シーズンのパーティーコースや女子会コースも人気。店主の斉藤さんは、秋田市の皇室御用達ホテルで10年間フランス料理の修行を積んだ実力派。さらに、自家焙煎コーヒーのカフェで水出しアイスコーヒーの技術を学び、その他さまざまなジャンルの飲食店の立ち上げにも携わった。それらの経験を活かし、20年前に能代で自身の店を開業。開店当初は「こんな場所に人は来ないだろう」と言われたが、丁寧な料理と温かな接客で、多くの人の心をつかんできた。
経験を活かしたこだわりの料理
ホテルでの修行や和洋中さまざまな飲食店に携わった斉藤さん。見栄えや味はもちろん、食材へのこだわりも徹底している。コーヒー豆は、斉藤さんが飲んで感動したという秋田市の珈琲工房ビーンズのものを使用し、コクや爽やかさがありつつも飲みやすい味わい。普段ミルクを入れる人でもブラックで楽しめるほど、冷めても美味しい甘さを感じる。友達と談笑しながらゆっくりお茶をしても、最後まで美味しいコーヒーだ。
人気の生パスタは、イタリアの伝統製法で作られたものを使用し、もちもちとした食感が特徴。ソースとよく絡み、驚くほど満足感のある一皿に。デザートのシフォンケーキは、娘さんが毎日焼いており、米粉仕立てのぷるぷるふわふわ食感。大きくカットされているが、最後まで飽きることなくペロリと食べられる。
お弁当も評判で、特に唐揚げは赤ワインをベースにしたタレが味の決め手。このタレのおかげで、より深い旨みが楽しめる。コース料理ではお客様の反応に合わせてメニューをアレンジするなど、細部にまでプロのこだわりと愛情が詰まっている。
地域とのつながり、広がる縁
「自分が本当に美味しいと思うものしか作らない」と語る斉藤さんは、地域とのつながりも大切にしている。能代商工会議所主催の「自慢の『豚なんこつ』料理」では、「豚なんこつキーマカレー」で最優秀賞を獲得した。「やる気のある若い人はいくらでもサポートしたいと思ってますよ」と微笑む斉藤さんは、特産品の開発などにも協力してきた。
他にも学校で料理の講師をして子どもたちのアイデアをランチメニューとして提供したり、デイサービス施設へ料理の提供をしたり、花火大会では4年連続で屋台を出店するなど、地域貢献にも積極的。プロのミュージシャンが訪れライブを開催することもあり、秋田県在住の全国で活動するバンド「鴉」や、水戸のシンガーソングライター「磯山純」さんなどとも交流がある。1万人以上が集まるフェスでは「今日はブルーベリーさんが来ています！」と紹介されたことも。ラジオでも店を紹介され、全国からファンが訪れるきっかけになった。
友達の家のようにくつろげる空間
安らぎの空間を作り上げるのは、奥さんのさゆりさん。毎朝2時間かけて掃除をし、内装にも気を配る。「友達の家に来たようにくつろいでほしい」と笑顔を見せるさゆりさんは、飾りもできるだけ手作りのものを選んでいる。店内のトールペイントの装飾はさゆりさんの手作りで、あちこちに置かれたキルト作品は能代市の武田京子さんのもの。可愛らしく温かみのある作品は、眺めているだけでも心が和む。「自分が楽しいと思うことを大切にして、その楽しさがお客様にも伝わればいいな」と語るさゆりさんの温かさは、訪れる人を癒しているだろう。
「この味を食べにまた来たい」「ここに来ると元気が出る」と、多くの人の心に残る店。「死ぬ前に来られてよかった」と話すおばあちゃんや、震災で生き残った子どもに「ここに来て生きる元気が出た」と言ってもらえたエピソードも。「幸せおうちごはん ブルーベリー」は、料理だけではなく、温かい接客と居心地の良さで、訪れる人の心を満たしている。
